患者数が多い5大がん

胃がん 肺がん 大腸がん 肝臓がん 乳がん

その他のがん 血液がん 膵臓がん

各診療科の特長

外科 消化器内科 呼吸器外科 呼吸器内科

 

胃がん

診断方法

  • • 内視鏡やX線検査では主に胃がんの病巣の検索を行い、胃がんの深さを推定したり、正確な場所や広がりを判定します。内視鏡では直接病巣の一部を採取し顕微鏡で調べることで胃がんの診断を行っています。これを生検(バイオプシーともいいます)といい、胃がんの診断には必須の検査です。X線検査、CT検査や超音波検査は、胃がんのリンパ節転移や肺・肝臓への転移を調べるものです。また、腹水があるのかもわかります。
  • 胃がん
  • • これらの検査で胃がんの深さを判定することで、まずおおよそ早期胃がん(再発の可能性がきわめて低い)と、進行胃がん(進行度に応じて再発する可能性がある)に分けます。早期胃がんの場合には、リンパ節転移があるか、がんの大きさや顕微鏡で見た形(組織型といいます)などを考えあわせて、内視鏡(胃カメラ)で治したり、縮小した手術ができるかを判定しています。進行胃がんでは深さとリンパ節転移の程度から、普通の胃切除あるいは合併切除を伴う拡大手術を行います。高度に進行している場合には、手術よりも化学療法や、時には緩和医療を行っています。
  • • 最終的な治療方針は、このほかに患者さんの全身状態や年齢など、さまざまの因子を考えあわせて、患者さんと医師が十分相談して決めることになります。

治療方法(内視鏡を使った治療)

  • • 内視鏡とは食道、胃、大腸などの中をのぞく道具で、お腹の中の病気を発見したり治療に用いたりします。胃の内視鏡は胃カメラともいわれ、胃がんなどの診断や治療に使われます。胃がんの広がりが浅くて小さい場合には、この内視鏡で病気の部分を取り除いてしまうことを提案しています(内視鏡的切除、EMR:endoscopic mucosal resectionやESD:endoscopic submucosal dissection)。ただし、あまり深いところまで取り除こうとすると、胃に穴をあけてしまうことがあるので、粘膜の浅いところまでの病気を治療するのに使います。また、いくら浅くて小さくても、リンパ節などに転移(飛び火)している場合には、内視鏡だけの治療では治りませんから、その場合には手術を行っています。
  • • この治療法は早期の胃がんの中でも、リンパ節に転移のある危険性のほとんどない場合に行われます。また、リンパ節に転移している可能性があっても、患者さんの体力が手術に耐えられない場合にも、内視鏡による治療が行われることがあります。
  • • また、内視鏡で治療してみた結果、思っていたよりも深く進んでいたり、顕微鏡で見るとリンパ管にたくさんのがん細胞が入り込んでいることがわかることがあります。そのような場合には、リンパ節に転移している可能性が高いので、体力さえ許せばリンパ節を取り除く追加治療(手術)をお勧めしています。

治療方法(手術療法①)

《定型手術》
  • • 胃がんの標準的な手術治療は、胃の2/3以上の範囲の切除と胃に接して存在する第1群リンパ節と、胃に流れ込む血管に沿って存在する第2群リンパ節を取り除くD2郭清(リンパ節をその周りの脂肪組織などとともに一括して取り除く)を行う方法です。これは、多くの胃がんに行われる手術方法で、当院でも定型手術(普通の胃切除)が胃がんの手術として多く行われています。
  • • また胃は多くの場合、胃の出口のほうを切除します(幽門側胃切除といいます)が、胃がんが胃の入り口に近い場合や胃がんが広がっている場合には、胃を全部切除(胃全摘術といいます)しています。
《縮小手術》
  • • 胃がんの多くが進行した状態で発見されていましたが、最近では早期の状態で見つかる人も増えてきました。そして、これまでの数多くの治療成績の結果から、定型手術を少し控えても同様な優れた治療成績が得られることがわかってきました。そこで、胃の手術の負担や手術後の障害を軽減する目的で行われるのが縮小手術です。当院でも、胃がんの病状や既往歴等の全身状態を考慮して、定型手術に比較してリンパ節の郭清範囲を縮小することや胃の切除範囲や周囲の臓器の切除範囲を縮小しても定型手術と同様な優れた治療成績が得られる場合に縮小手術を行うこともあります。

治療方法(手術療法②)

《拡大手術》
  • • 胃以外の他臓器(膵臓、脾臓や大腸、肝臓の一部など)を合併切除したり、取り除くリンパ節の範囲を広げたりして、定型的に行われている手術の範囲を超えて行う胃切除をいいます。胃がんが肝臓や膵臓などの周りの臓器に直接浸潤していて、合併切除をしないと胃がんが取りきれない場合やリンパ節転移の範囲が遠くまで及んでいる場合に行います。拡大手術が有用であるためには、安全であり、標準手術より成績が良いことが必要ですので全ての方に行えるとは限りません。まだ標準治療ではありませんが拡大手術が必要な方に手術前に抗がん剤治療を行い、胃がんが縮小した場合に定型手術を行う方法も取り入れていますが、抗がん剤治療の効果が不十分な場合は手術が行えないこともあります。
《非治癒切除》
  • • 胃がんの手術の中、がんが明らかに残っている場合を非治癒切除といいます。この非治癒切除は胃がんを治す目的ではなく、胃がんによる症状を軽減する狭義の緩和手術(姑息手術)と、少しでも延命を図る目的で行われる減量手術(がんを減量するという意味合い)に分かれます。
  • • 患者さんの生活の質を改善するのが緩和手術です。一方、がんの量をできるだけ少なくして、後の抗がん剤に期待するのが減量手術で、少しでも延命できるのであれば、これらの手術にも意味があります。しかし、時には手術のために却って状態が悪くなることもあります。当院では、この様な手術を行う時には手術に伴うメリットとデメリットを十分に考慮し、本人家人と十分相談し、納得頂いた上で手術を行っています。

治療方法(手術療法③)

  • • 術後の定期的な経過観察(フォローアップ)
  • • 胃がんの手術後に起こるさまざまな症状に対する治療や生活指導をするためと再発を早期に発見するため手術後に定期的名経過観察を行っています。術後、計画的に外来通院していただき、血液検査、CT検査、必要時に内視鏡検査などを行います。術後5年が経過しますと、再発することはほとんどなくなりますので外来受診は終了となります。しかし、胃全摘後は放置しておくと悪性貧血になりますので、定期的にビタミンB12の投与を行う場合があります。
  • • また、胃以外の他臓器に発生する頻度の高いがんとしては、男性では肺がん、大腸がん、肝がん、前立腺がんなど、女性では乳がん、大腸がん、肺がん、子宮がんなどがあります。これらのがんに対しては基本的に検診やドックを受けることにより対応していただくことをお勧めしています。

治療方法(補助化学療法)

  • • 胃がんの治療は転移病巣を含めて手術で完全に取りきることができるかどうかで、その結果が大きく異なってきます。完全に取りきれた手術を根治手術といいます。胃がんの転移ではリンパ節転移が最も多く、次いで腹膜転移、肝転移の順となります。
  • • そして、根治手術後もがんは目に見えない敵として存在する場合があり、抗がん剤でたたき消滅させようとする考えが術後補助化学療法と呼ばれるものです。また、手術をする前に先手必勝とばかり、先に抗がん剤でがんをたたき、弱らせた状態で手術することにより治療成績を良くしようとする考えが術前補助化学療法です。このように化学療法と手術を組み合わせた集学的治療を一人一人の病状に対応して行っています。
  • • しかし、きわめて残念なことに、現在再発を予防できると証明されているお薬はありません。胃がんにある程度の有効性を持つ薬剤は複数存在しますが、つい最近に至っても、いまだこのお薬を補助化学療法として用いると再発しなくなるという特定のお薬はなく、新しい薬剤で効果を調べる臨床試験が実施されているところです。

 

肺がん

診断方法

  • 肺がん
  • ▸ 肺がんの診断にはいくつかの方法があります。
  • ▸ 肺に異常な影があるかどうかを調べるには、胸部X線写真や胸部CT検査があります。胸部X線検査もいまだにスクリーニング検査として不可欠ですが、胸部CT検査でしか見つからないような肺がんも増加傾向にあります。
  • ▸ 画像診断としてはこのほかに、MRI検査、シンチグラム、PET-CT検査などが知られていますが、肺がんの広がりを調べる目的の検査であり、本当に肺がんか否かの判断材料にはなりません。(画像診断)
  • ▸ 本当に肺がんかどうかの診断には、顕微鏡でがん細胞を見つける検査が必要です。以下の検査方法が代表的です。(確定診断)
  • ○ 気管支鏡生検・細胞診

    ○ 喀痰細胞診

    ○ CTガイド下生検

    ○ 胸腔鏡下生検・細胞診

  • ▸ 重喫煙者には、喀痰細胞診もスクリーニング検査として大切な診断方法です。
  • ▸ 肺がんの血中腫瘍マーカーは下に示すのが代表的ですが、あくまで補助診断ですので、上昇していてもがんで無いケース、がんでも上昇しないケースなどしばしば認められます。
  • ○ CEA

    ○ CA19-9

    ○ シフラ

    ○ SCC

    ○ NSE

    ○ ProGRP

治療方法(手術療法①)

がんの進行具合に応じて色々な組み合わせで実施します。手術療法が可能な肺がんでも症例に応じた手術法が選択されます。

▸ 胸腔内へのアクセス

    ○ 胸腔鏡手術  ○ 開胸手術

▸ 肺切除

【解剖学的切除】

    ○ 一側肺全摘

    ○ 肺葉切除(定型的手術)

    ○ 区域切除(縮小手術)

【非解剖学的切除】

    ○ 肺部分切除(縮小手術)

▸ リンパ節郭清

早期肺がんでは不要もしくは選択的郭清の症例もある

治療方法(手術療法②)

▸ 肺がんの手術適応(手術療法を行うか否か)の判断

  • ○ 肺がんの進行具合:TNM因子
    • ・T因子:肺がんの状況(大きさや部位など)
    • ・N因子:リンパ節転移
    • ・M因子:遠隔転移
  • ○ 患者さん個人の肺機能をはじめとした予備力

 
治療方法 手術01

治療方法(手術療法③)

▸ 最近増加傾向にある末梢小型肺がんに対して

  • ○ 術中迅速診断で確定診断
  • ○ 症例に応じて縮小術式を選択
    • ・ 切除肺組織量を定型術式より少なくする
    • ・ リンパ節郭清も選択的に
  • ○ 胸腔鏡下の手術が大半を占める

 
治療法 手術02

治療方法(放射線療法)

  • • 肺がんに対する放射線治療は非常に大きな役割を果たします。基本的にはリニアックという治療装置で体の外からX線をあてる外部照射法を用います。放射線をどの方向からどの程度の強さであてるかは、治療計画用のCTを行い、そのデータを用いて放射線治療医がその疾患治療に必要な放射線の量や正常臓器の副作用のリスクを考慮して総合的に決定します。
  • • 非小細胞肺がん、小細胞肺がんで治療法が異なります。放射線治療の適応についてはがんの転移があるかないか、あるとしたらどこに転移しているか、で大きく変わってきます。
《非小細胞肺がん》

 
治療法 放射線治療

  • • Ⅰ期~Ⅱ期で手術を希望されない方や高齢・心肺機能の低下などの理由で手術困難な方、Ⅲ期で手術困難な方の一部でがんに対する「根治的放射線治療」を行います。
  • • 特にⅠ期のようながんが小さく限局しているような病変に対しては「体幹部定位照射」という、病変のみをピンポイントで狙い撃ちするような治療が効果的で、手術に匹敵する良好な成績が出ています。
  • • 通常の根治的放射線治療では6週間前後かかるのに対して、体幹部定位照射では4日間という短期間で治療終了できるのも大きな特徴です。(それぞれの治療には状況に応じて詳細な適応判断が必要です)
《小細胞肺がん》
  • • 「根治的放射線治療」に関しては病変が限局している場合(主に遠隔転移のない場合)に適応となります。可能であれば抗がん剤を併用します。非小細胞肺がんと治療スケジュールがやや異なり、1日2回(朝、夕)で3週間行います。病変が大きく放射線をあてる範囲が広い場合は抗がん剤のみで治療したのちに放射線治療を行う場合もあります。
  • • 治療効果が大きい場合(病変が著明に縮小または消失)には、脳転移予防のための予防的全脳照射(1日1回、2週間)を行うことが推奨されています。
《Ⅳ期 肺がん(非小細胞肺がん・小細胞肺がん共通)》
  • • 遠隔転移のあるⅣ期では、骨転移や脳転移などにより疼痛または麻痺などの神経症状をきたすことがあります。その場合にも放射線治療は効果的で、それらの症状を緩和する目的で放射線治療を行います。

治療方法(化学療法)

肺がんの化学療法は主に進行期の方や手術が適さない方を中心に行われます。
近年、多くの抗がん剤が開発され、それぞれの肺がんに適した薬剤の選択が重要になっております。薬剤の選択は肺がんの種類である組織型や進行の具合(放射線治療を併用すべきか否か)によって異なって参ります。
一部の肺がんに分子標的薬も用いられるようになってきました。分子標的薬は採取したがん細胞を調べることによってその方のがん細胞に特有のがん遺伝子変異が見られた場合に使用します。
非小細胞がんにおいて特有のがん遺伝子変異が見られない場合は、通常の殺細胞性の抗がん剤で治療を行います。扁平上皮がん以外の場合には、通常の抗がん剤に加え血管新生阻害薬を併用することがあります。
小細胞肺がんでは限局型のものでは放射線療法と組み合わせて治療を行い、進展型では化学療法のみで治療を行います。

 

肝臓がん

診断方法

肝臓がん(肝細胞がん)が正常な肝臓に発生することは稀です。なんらかの原因で慢性肝臓病(慢性肝炎~肝硬変)を発症している場合に肝臓がん発症のリスクが高くなります。B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスによるウイルス性慢性肝炎、自己免疫異常が関与する慢性肝炎、アルコール多飲による肝硬変、肥満や糖尿病などが関与する非アルコール性脂肪性肝疾患などの基礎疾患をお持ちの方は注意が必要です。定期的に画像検査を行うことによって、肝臓がん発症の有無をチェックします。
画像検査で一番簡便なのは腹部超音波検査(エコー)です。その他腹部造影CT、腹部造影MRIなどで肝内を検索します。腫瘍が見つかった場合は、腫瘍の大きさや個数、場所、腫瘍の性質(造影パターン)などを詳細に検討します。
画像検査で腫瘍が悪性か良性か鑑別がつかないときは、経皮的に針を刺して生検を行います。また肝細胞がんが産生する腫瘍マーカー(AFP、PIVKA-2)も診断の補助となります。

治療方法

治療は基本的に、日本肝臓学会が作成した肝がん診療ガイドラインに沿って行っています。肝障害度(肝臓の予備能力)、腫瘍の個数、腫瘍の大きさなどで、推奨される治療法が異なります。(日本肝臓学会のホームページで、治療のアルゴリズムがわかりやすく示されていますので、ご覧になってください)
実際は、患者さんの年齢や他の持病の状態なども考慮し、患者さんとよく話し合った上で治療方針を決定しています。

① 手術療法

肝臓がんは大きく分けて原発性肝がん(肝細胞がん)と転移性肝がん(大腸がん等からの肝転移)に分類されます。B型肝炎やC型肝炎から発症する肝細胞がんは原発性肝がんで、肝機能が悪い患者さんが多いため、肝機能評価が治療を行う上で非常に重要で、高度な肝硬変がある場合は内科的治療で血管造影やRFA(焼灼治療)など行われ、肝機能が良好な患者さんに対して外科治療(肝切除または焼却)を行っています。一方、転移性肝がんは一般的に肝機能が良好なため、肝切除による治療が第一選択になります。腫瘍の個数、大きさや位置などで手術が困難な場合は、まず最初に化学療法(抗がん剤)で腫瘍を縮小させたのちに手術を行う場合もあります。
肝がんに対する外科的治療は画像診断、手術器具の発達により以前に比べて安全に施行できるようになっています。外科的治療か内科的治療でお悩みの患者さんはセカンドオピニオンも行っています。

② 肝動注化学塞栓療法(TACE)

肝細胞がんの多くは肝動脈からの血流によって栄養を受けています。足の付け根の大腿動脈からカテーテルを挿入し、肝動脈までカテーテルを進め塞栓し、同時に抗がん剤を注入することでがん細胞を壊死させます。

③ 穿刺局所療法(経皮的エタノール注入、経皮的ラジオ波焼灼)

超音波やCTなどの機器で腫瘍の位置を確認しながら、局所麻酔後に穿刺針を刺します。エタノール注入の場合は細長い針を穿刺してエタノールを注入、がん組織を凝固壊死させます。ラジオ波焼灼の場合は、先端に電極がついたボールペンの芯程度の太さの針を腫瘍まで到達させ、焼灼します。

④ 化学療法

分子標的薬のソラフェニブを内服します。

 

大腸がん

診断方法

  • • 内視鏡や注腸検査では主に大腸がんの病巣の検索を行い、大腸がんの深さを推定したり、正確な場所や広がりを判定します。内視鏡では直接病巣の一部を採取し顕微鏡で調べることで大腸がんの診断を行っています。これを生検(バイオプシーともいいます)といい、大腸がんの診断には必須の検査です。CT検査や超音波検査は、大腸がんのリンパ節転移や肺・肝臓への転移を調べるものです。また、腹水があるのかもわかります。
  • 大腸がん
  • • これらの検査で大腸がんの深さを判定することで、まずおおよそ早期大腸がん(再発の可能性がきわめて低い)と、進行大腸がん(進行度に応じて再発する可能性がある)に分けます。早期大腸がんの場合には、リンパ節転移があるか、がんの大きさなどを考えあわせて、内視鏡(大腸カメラ)で治すことができるかを判定しています。進行大腸がんでは深さとリンパ節転移の程度から、腸管切除の手術を行います。高度に進行している場合には、手術よりも化学療法や、時には緩和医療を行っています。
  • •最終的な治療方針は、このほかに患者さんの全身状態や年齢など、さまざまの因子を考えあわせて、患者さんと医師が十分相談して決めることになります。

治療方法 ① Stage 0~Stage Ⅲ

1.内視鏡治療

本法は内視鏡的に大腸の病巣部を切除し,切除組織を回収する方法である。
内視鏡治療を行えるか否かを決める際には,腫瘍の大きさ,深達度の予測,形態に関する情報が不可欠で、リンパ節転移の可能性がほとんどなく,腫瘍が一括切除できる大きさと部位にある方が対象となる。

  • 【治療法として】
  • ○ ポリペクトミー
  • ○ 内視鏡的粘膜切除術(EMR:endoscopic mucosal resection)
  • ○ 内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD:endoscopic submucosal dissection)
2.手術治療

大腸癌手術は、原発巣(腫瘍)の摘出に伴う腸管切除とリンパ節郭清である。リンパ節郭清度は,手術前のCTによる検査結果および手術中の結果によるリンパ節転移の有無と腫瘍の壁深達度から決定する。

  • ○ 術前・術中診断でリンパ節転移を認める,または疑う場合は,D3 郭清を行う。
  • ○ 術前・術中診断でリンパ節転移を認めない場合は,壁深達度に応じたリンパ節郭清を行う。

治療方法 ② Stage Ⅳ

Stage Ⅳ大腸癌では肝転移,肺転移,腹膜播種,脳転移,遠隔リンパ節転移,その他の転移(骨,副腎,脾など)の内いずれかを伴う。

  • ○ 遠隔転移巣ならびに原発巣がともに切除可能な場合には,原発巣の根治切除を行うとともに遠隔転移巣の切除を考慮する。
  • ○ 遠隔転移巣が切除可能であるが原発巣の切除が不可能な場合は,原則として原発巣および遠隔転移巣の切除は行わず,他の治療法を選択する。
  • ○ 遠隔転移巣の切除は不可能であるが原発巣切除が可能な場合は,原発巣の臨床症状や原発巣が有する予後への影響を考慮して,原発巣切除の適応を決める。

治療方法 ③ 再発

再発大腸癌の治療目的は,予後向上と生活の質(Quality of Life:以下QOLと略す) の改善である。
期待される予後,合併症,治療後のQOL などのさまざまな状況を検討し,患者への十分な説明と同意(インフォームド・コンセント)のもとに治療法を選択する。

  • 【治療法として】
  • ○ 手術療法
  • ○ 全身化学療法(抗がん剤の内服、点滴投与)
  • ○ 動注化学療法(抗がん剤の動脈内投与)
  • ○ 熱凝固療法
  • ○ 放射線療法

治療方法 ④ 血行性転移

1.肝転移の治療方針

肝転移の治療は,肝切除,全身化学療法,肝動注療法および熱凝固療法がある。
根治切除可能な肝転移には肝切除が推奨される。
肝切除術には系統的切除と部分(非系統的)切除がある。

  • 【肝切除の適応基準】
  • (1)手術に耐えうる状態。
  • (2)原発巣が手術で摘出されているか,摘出予定。
  • (3)肝転移巣を遺残なく切除可能。
  • (4)肝臓以外の転移がないか,手術で摘出可能。
  • (5)肝臓を切除した後の肝機能が保たれると予想されること。

手術不可能な肝転移で全身状態が不良でない場合は,全身化学療法を考慮する。
熱凝固療法にはマイクロ波凝固療法(MCT:microwave coagulation therapy)とラジオ波焼灼療法(RFA:radiofrequency ablation)がある。
日常生活にも支障を来す様な全身状態が不良あるいは有効な薬剤がない場合は症状を緩和する医療(BSC:best supportive care)を行う。

 

2.肺転移の治療方針

肺転移の治療には,肺切除と全身化学療法,放射線療法がある。
肺転移巣の切除が可能であれば肺切除を考慮する。
肺切除には系統的切除と部分(非系統的)切除がある。

  • 【肺切除の適応基準】
  • (1)手術に耐えうる状態。
  • (2)原発巣が手術で摘出されているか,摘出予定。
  • (3)肺転移巣を遺残なく切除可能。
  • (4)肺臓以外の転移がないか,手術で摘出可能。
  • (5)肺臓を切除した後の肝機能が保たれると予想されること。

手術不可能な肺転移で全身状態が不良でない場合は,全身化学療法を考慮する。
手術不可能な場合でも,原発巣と肺外転移が制御されているか,制御可能で,5 cm 以内の肺転移個数が3 個以内であれば体幹部定位放射線治療も考慮する。
日常生活にも支障を来す様な全身状態が不良な場合は症状を緩和する医療を行う。

 

3.脳転移の治療方針

全身状態,他の転移巣の状況を考慮し,脳転移巣の大きさ,部位,脳転移個数を評価して最適な治療法を選択する。
治療効果が期待される病変に対しては,手術療法あるいは放射線療法を検討する。
手術不可能な場合、放射線療法を考慮する。

  • 【手術療法】
  •  脳切除の適応基準
  • (1)数カ月以上の生存の見込み。
  • (2)手術により重大な神経症状をきたさない。
  • (3)他臓器の転移がないか,制御可能。
  • 【放射線治療】
  • •脳神経症状や頭蓋内圧亢進症状などの症状緩和と局所制御による延命を目的とする。
  • •多発性脳転移例や外科切除の対象とならない孤立性脳転移例では全脳照射を検討する。
  • •脳転移個数がおよそ3~4 個以内で3 cm 以下であれば,定位放射線照射を検討する。

治療方法 ⑤ 化学療法

化学療法には,手術後再発を防ぐ目的とした補助化学療法と手術不可能な進行再発大腸癌を対象とした全身化学療法がある。

1.補助化学療法

手術後補助化学療法は,根治手術が行われた時に,再発を抑制し予後を改善する目的で,手術後に実施される全身化学療法である。

2.切除不能進行再発大腸癌に対する化学療法

化学療法の目標は腫瘍の進行を遅延させて延命と症状コントロールを行うことである。
手術不可能な進行再発大腸癌に対する化学療法が良く効いて手術可能となることがある。
体力的に強力な治療が行える患者と強力な治療が行えない患者に分けて治療方針を選択するのが望ましい。

治療方法 ⑥ 放射線療法

放射線療法には,直腸癌の術後の再発抑制や術前の腫瘍を小さくし,肛門温存を目的とする補助放射線療法と切除不能進行再発大腸癌の症状緩和や延命を目的とした緩和的放射線療法がある。

治療方法 ⑦ 緩和医療・ケア

緩和医療・ケアとは,患者の生活の質(Quality of Life:QOL) の維持,向上を目的としたケアの総称である。
緩和医療・ケアは,がんの診断がついた時点から終末期までを対象とした医療であり,病期や症状により,実施すべき内容が異なる。
がん治療は症状緩和が図られた状態で行うことが原則であり,外科治療や化学療法の当初から緩和医療が必要な方に行うことが望ましい。
大腸癌終末期におけるQOL 向上のための緩和医療には以下のものが含まれる。

  • (1)疼痛緩和
  • (2)外科治療
  • (3)化学療法
  • (4)放射線療法
  • (5)精神症状に対するカウンセリング

 

乳がん

診断方法

1. 視診・触診 2. マンモグラフィー 3. 超音波検査および組織検査で診断をつけます。

自己検診や定期的な超音波やマンモグラフィーなどの検査によって、乳がんが見つかることがあります。

▸ 左の画像

自己検診で見つけてこられた患者さんのマンモグラフィー
大きな腫瘤が確認されます。

▸ 右の画像

自己検診では、発見されず(触診でもしこりは触れません)、
マンモグラフィーで見つけられた早期がん(乳管内がん)

乳がん 乳管内がん

生検針が腫瘍にしっかりと当たっていることを超音波で確認します。組織検査は超音波検査でしこりを観ながら細い針にて行います。

また、同時にエストロゲンレセプター、プロゲステロンレセプターや、HER2レセプターなど、治療に必要な検査を併わせて行います。

  • ※ 検査に要する時間は10~15分程度です。
  • ※ 局所麻酔をしてから行いますので、痛みが少ないです。
乳がん

治療方法(化学療法)についてはこちら

治療方法(放射線療法)

当院での乳がんの放射線治療の目的は大きく分けて二つあります。
一つは乳がん術後に行う再発予防目的での放射線治療、もう一つはがん病変による痛みや筋力低下に対して行う症状緩和目的での放射線治療です。

① 乳がん術後照射

乳がんの治療としては主に手術、抗がん剤、放射線治療の3つがありますが、手術だけして経過観察した場合に、その近くからがんが出てくる、いわゆる再発の可能性があります。この再発予防のために手術後に放射線治療をすることが一般的となっています(状況によりしない場合もあります)。再発予防ですので手術した側の乳房(状況によっては鎖骨周りも)に放射線治療を行います。

当院では25回または30回(およそ1ヶ月ちょっと)の治療を行います。副作用として多く見られるものは、放射線をあてた部位にでてくる皮膚炎(日焼けのようなもの)がありますが、ひどくなった場合は塗り薬で対応します。放射線治療後に出てくる可能性のあるものとして放射線肺臓炎、上肢のむくみなどが挙げられます。

② 緩和照射

乳がんが進行してくると遠隔転移といって乳房以外の場所にがんが飛んで、大きくなることがあります。乳がんの場合は脳、肺、肝臓、骨などによくみられますが、これらの転移により生じた症状に対して放射線治療を行います。症状緩和が主目的ですので副作用が少なくなるよう放射線量は術後照射に比べて少なめです。期間としては1~2週間程度です。

 

膵臓がん

診断方法

膵臓は胃や大腸と違って直接内視鏡で観察することが困難なため、膵臓がんは早期発見が難しい臓器です。膵臓が侵された場合、腹背部痛、黄疸や糖尿病を発症したり悪化することがありますので注意が必要です。膵臓がんの診断をするときは通常腹部超音波検査や腹部CTで膵臓の腫瘤や膵管という膵臓の真ん中を貫いている管の拡張を指摘し、その後精査していきます。

ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)を行い、膵管の内腔からその狭窄部や膵腫瘤部を精査し、可能なら同部の細胞を採取し、がんの確定診断を行います。また主膵管から腫瘍が離れている場合など、膵管内からの細胞の採取が困難な場合は超音波内視鏡(内視鏡の先端にエコーがついているもの)を挿入し、エコーで見ながら、腫瘍組織を採取する方法も行っています。

膵臓がんの確定診断後、エコー、CT、PET等で最終的に病変の広がりを評価し、手術可能かどうかを外科と話し合って決定しています。

治療方法(手術療法)

早期発見された膵臓がんは手術により十分に治療ができます。しかし進行した膵臓がんは手術だけでは満足できる結果は得られませんでした。そこで最近では手術を行い退院した後、外来で再発予防のお薬を使い、日常生活を送りながら経過観察することが可能になっています。

治療方法(非手術療法)

膵臓がんは早期発見が難しいがんの一つです。膵臓と離れた臓器への転移や主要血管を巻き込んだ場合、手術では十分な効果がなく予後を改善できません。この場合、化学療法を第一選択にしています。近年新しい抗がん剤の開発により、少しずつ治療効果は改善しています。

また黄疸や消化管狭窄などの合併症については、内視鏡的ステント治療や、外科的な胆管、消化管バイパス術なども行い、緩和ケアに努めています。

 

各診療科の特長

外科の特長

外科の手術理念:Safety, Steady, Speedy
各種がんの標準治療(各種がんの治療ガイドライン)に準拠し、一人一人の病状に合わせた治療を説明と同意の上で行っています。また、手術前後の経過を分かりやすくするための手術パス(胃がん・大腸がん・肺がん・乳がん)を導入し、運用しています。

  • • 化学療法と手術を組み合わせた集学的治療
  • • 病状に合わせた低侵襲の腹腔鏡手術の取り組み
  • • 九州大学消化器・総合外科を含む九州の6大学が中心に運営する九州消化器癌化学療法研究会(Kyushu Study group of Clinical Cancer:KSCC)の一員として胃がんの新たな化学療法の開発に繋がる臨床試験の取り組み
  • • がんの診断時から身体的、精神的苦痛に対する緩和医療の提供体制

消化器内科の特長

  • • 安全・安心な医療を心がけて、外科や放射線科と緊密に連携をとりながら診療しています。
  • • 通常の内視鏡に加え、必要に応じて特殊光(NBI、BLI)検査、拡大内視鏡、超音波内視鏡などの検査を行います。これにレントゲン(バリウム検査等)やCT検査などの精密検査の情報をあわせて、治療方針を総合的に決定します。
  • • 早期で転移のないものに対しては内視鏡治療が可能なものがあります。進行している病変の場合は外科治療や化学療法(抗がん剤など)を検討します。

呼吸器外科の特長

  • • 呼吸器外科のモットー:“よく診て、よく聞き、やさしく治す”
  • • 日本呼吸器外科学会の基幹施設としての確固たる実績
  • • 肺がん診療ガイドラインに則し、病状に応じた適切な治療を、安全・確実に実施
  • • 積極的に胸腔鏡を導入し、負担の少ない手術を実行
  • • 肺がん手術前後の経過をわかり易くかつ効率的にするため「肺がん手術パス」を積極的に運用
  • • 呼吸器内科、放射線科とも密につながり、集学的治療を実施
  • • 気道のスペシャリストとして、レーザー照射、ステント療法、スネア切除にも精通
  • • 人間性に満ちた外科治療が信条

呼吸器内科の特色

肺がんのみならず、感染症や気管支ぜんそくなどのアレルギー疾患、COPDを含め呼吸不全に関する病態、間質性肺炎などのびまん性肺疾患など、ほとんどすべての領域の呼吸器疾患の診療を行っています。肺がんの治療を行うにあたり合併症管理を含め、呼吸器疾患全般の診療経験が大変有用であると考えています。

呼吸器外科や放射線科とカンファレンスのみならず密に連携し肺がん診療にあたります。また必要に応じ院内の各科と相談しながら診療を行っています。