診療の基本方針

婦人科 ロビー

女性の一生は女性ホルモンの状態によって、小児期、思春期、性成熟期、周閉経期、老年期と大きく分けられます。

卵巣から分泌される女性ホルモンは妊娠に関与するのみならず、女性の身体づくり、健康維持のために大切な役割を担っています。

日本ではまだまだお産以外で産婦人科を受診することに抵抗を感じる方が多いのですが、欧米では初経を迎えると婦人科のかかりつけ医を決めて定期的に受診するのが一般的です。

女性ならではの悩みは相談しにくいものですが、かかりつけの婦人科があれば、気軽に相談して頂けます。女性が子どもを欲しいと思った時に安心して子どもを産み育ててほしい、そして健康寿命を楽しんでほしい、それが私たちの願いです。

そのための身体づくりは初経を迎えたときから始まります。思春期から老年期まで女性の健康を総合的にサポートしていきます。ホルモン剤を中心とした薬物療法、身体にやさしい腹腔鏡や子宮鏡を主とした手術療法を軸に身体を整えるお手伝いをしていきます。

婦人科 診察室
 

対象疾患

不妊症

妊娠を希望している健常な夫婦では、3ヶ月以内で約50%に、6ヶ月以内で約70%に、1年以内で約80%に妊娠が成立します。一方で妊娠を希望する夫婦の10-15%が不妊であり、女性の加齢が密接に関係しています。不妊の割合は20歳代前半までは5%以下ですが、20歳代後半では9%ほどになり、30歳代前半では15%、30歳代後半では30%と上昇し、40歳以降では約65%の人は自然妊娠の望みがなくなると推定されています。

不妊の原因は女性のみにある場合が40%、男性のみにある場合が25%、男女ともに原因がある場合が25%、原因が不明であることが10%であり、男性側にも約半数の原因があるといわれています。もしかしたら子どもを授かりにくい体質かも、と思われたら、早めの検査と治療をお勧めします。

女性のみならず、ご夫婦で検査を受けて頂くことが望ましいです。一般不妊検査として基礎体温を測定頂き、一般血液検査、ホルモン検査、超音波検査、子宮卵管造影検査、頸管粘液検査、感染症、精液検査等を月経周期にあわせて順次行っていきます。必要があれば子宮鏡検査や腹腔鏡検査などの検査をお勧めすることもあります。

不妊の原因が、排卵の過程、卵管、子宮、頸管粘液のどこにあるのか、検査で異常が判明すればそれに合わせた治療を行い、必要に応じて卵胞発育をコントロールしながら、タイミング指導、子宮内精子注入法(IUI)、体外受精・胚移植法(ART)と妊娠へ向けて徐々にステップアップしていきます。

子宮筋腫

30歳代、40歳代の女性の3‐4人に1人の子宮に筋腫があります。子宮の筋層から発生するコブのような腫瘍ですが、子宮の外側、筋層の中、子宮腔の内側のどちら向きに大きくなっているかにより症状が異なります。筋腫は良性の腫瘍ですから、必ず治療が必要なものではありません。

一般的に女性ホルモンで大きくなり、閉経後はゆっくりと小さくなっていきます。筋腫の存在が日常生活に支障を来す場合のみ、その困ることを解決するために原因である筋腫の治療を行います。筋腫の位置、数、大きさ、症状の程度、今後の妊娠の希望、年齢により、治療の方法や時期が異なります。

子宮内膜症・子宮腺筋症・卵巣チョコレート嚢胞

最近、20歳代から40歳代の女性に増えている疾患です。子宮内膜とよく似た組織が子宮内腔以外の場所、卵巣や子宮筋層内、子宮の表面、腹膜に存在し、女性ホルモンであるエストロゲンで増殖と剥離、吸収を繰り返す病気です(卵巣の子宮内膜症を卵巣チョコレート嚢胞、子宮筋層の子宮内膜症を子宮腺筋症といいます)。

月経の度に少しずつ進行し、徐々に月経痛が強くなり、月経時に頭痛や嘔気、嘔吐、排便痛、下痢を伴うようになり、さらに進行すると月経以外の時にもこのような症状が続くようになります。

性交痛に悩むこともあり、卵巣の腫大や骨盤内の癒着も伴うようになると妊娠しにくくなります。晩産化、少産化により月経の回数が増えることにより増加していると考えられています。 病気の進行の程度や症状、将来(あるいは今すぐ)子どもが欲しいと思っているかどうかなどにより適切な治療を選択することが大切です。

①消炎鎮痛剤、②ホルモン療法(エストロゲン-プロゲステロン補充療法、黄体ホルモン療法、偽閉経療法)、③外科的療法(腹腔鏡手術)、④不妊治療を組み合わせて治療を行います。

良性卵巣腫瘍

卵巣、卵管、卵管間膜に由来する良性腫瘍には様々な種類があります。さらさらした水のような液体が貯まる漿液性嚢胞腺腫、どろどろの液体が貯まる粘液性嚢胞腺腫、脂肪や毛髪や歯などでできている皮様嚢腫、充実成分でできている線維腫などです。いずれも徐々にサイズが大きくなり、自然に消失、縮小することはありません。

ほとんどの場合何ら症状はありませんが、ある程度の大きさになると捻転や破裂のリスクが高くなるため、5cmを超えてくると外科的に摘出することをお勧めしています。サイズや年齢、今後の妊娠の希望により手術の方法は異なります。捻転や破裂が起こった場合には緊急での手術が必要になることがあります。

子宮ポリープ

子宮頸管ポリープ、子宮内膜ポリープなど、発生部位、サイズ、症状(過多月経、貧血、不妊)により治療の必要性や治療方法が異なります。

月経トラブル(月経痛、月経不順、無月経、過多月経、月経前症候群、思春期での月経異常)

思春期以降、女性の身体はおよそ1ヶ月に一度排卵が起こり、ホルモンが変動して月経が起こるようになります。

ホルモンの司令塔である視床下部から分泌される性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)により、脳下垂体から卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体化ホルモン(LH)が分泌されます。卵胞刺激ホルモンにより卵巣で卵胞が発育し女性ホルモンであるエストロゲンが分泌されます。エストロゲンが増加することにより黄体化ホルモン(LH)が急激に増加し排卵が誘発されます。

排卵後の卵胞は黄体となり、黄体ホルモンであるプロゲステロンが分泌されます。妊娠が成立しなければ黄体は白体となりプロゲステロンが低下します。子宮内膜はエストロゲンで肥厚し、プロゲステロンで分泌期となり、プロゲステロンが低下するときに剥がれ落ち月経血として体外に排出されます。

この過程に何らかのトラブルがあると、月経異常となります。トラブルの原因が器質的なものなのか、機能性のものなのかを検査した上で、最も適した治療を行っていきます。筋腫やポリープが原因である場合は手術が必要になることもあります。

過度のダイエットや肥満、ストレス、睡眠習慣の乱れなどが原因であることもありますが、多くの場合、ホルモン療法により日常生活が見違えるように楽になります。他に内科的な病気をお持ちの方や喫煙者の方にはホルモン治療ができないことがあります。

更年期障害

女性ホルモンが低下する過程でホルモンの変動が大きくなる閉経前後の10年間程度、ほてりや発汗、のぼせ、めまいといったいわゆる更年期症状が出てくるようになります。このような症状が生活に支障をきたすようになると更年期障害といって治療が必要になります。

1年~5年ほどのホルモン補充療法が効果的です。また、閉経後に女性ホルモンが低下した状態が長期的に続くことにより、動脈硬化や骨粗鬆症などのリスクも上がりますが、毎日の食事や運動によってもさまざまな病気を発症するリスクの個人差が大きくなってきます。日本人女性の平均寿命は80歳を超えています。

閉経後の30年間を健康で生き生きと過ごすための準備期間として、自分らしい年の重ね方を考えて頂きたいと思います。

婦人科救急疾患

子宮外妊娠、卵巣腫瘍茎捻転など、必要があればその日のうちに緊急の腹腔鏡手術で治療を行っていきます。これらの疾患が疑われる際には食事を控えて受診ください。

 

外来担当医表

婦人科
内田 江夏 内田 江夏 内田 江夏 (手術日) 内田 江夏

 

スタッフと専門領域

内田 聡子

婦人科医長

専門分野
生殖内分泌、内視鏡
所属学会
日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本生殖医学会、日本産科婦人科内視鏡学会、日本女性医学学会
取得資格
日本産科婦人科学会専門医、日本産科婦人科学会指導医、日本生殖医学会生殖医療専門医、日本女性医学学会専門医

江夏 国宏

婦人科医師

専門分野
生殖内分泌
所属学会
日本産科婦人科学会
取得資格
日本産科婦人科学会専門医